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自転車開発コラム

自転車の塗装が剥がれるとどうなる?リスクや有効な補修方法・予防対策とは

自転車の塗装が剥がれるとどうなる?リスクや有効な補修方法・予防対策とは

フレーム塗装の剥がれは、自転車を使う上で避けて通ることができない劣化現象の一つです。

そこで今回は、自転車のメーカーであり小売部門での販売も行うサカイサイクルが、自転車の塗装剥がれを放置しておくことのリスクや発生原因について解説。併せて、有効な補修方法と予防策も紹介していくので、ぜひ参考にご覧ください。

自転車の塗装が剥がれることによる影響やリスクは? 

フレーム部分を中心に、自転車に塗装を施す目的としては、大きく以下2つが挙げられます。

  1. 自転車全体のデザイン性を高め、見た目の印象を良くするため
  2. フレーム素材である金属やカーボンを汚れや水、錆から守るため

新しく自転車を購入するにあたり、全体のカラーリングや色柄といったデザイン性を重視する方は少なくありません。特に色は、自転車を購入されるお客様にとって重要な選択基準の一つとなるため、フレームパーツにはしっかりとしたデザインや塗装を施すのが一般的です。

その塗装が一部でも剥がれるということは、自転車のデザイン性が著しく損なわれることを意味します。またどうしても錆びたような、古びた印象を与えるようになるため、全体的に見た目が悪くなるのは避けられないでしょう。

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また、自転車フレームの素材となるアルミやクロモリ、ハイテンション鋼等の金属には、付着した水分や汚れから錆が発生する性質があります。そして金属と同じく一部の自転車フレームに使用されるカーボンは、錆には強い一方、水を吸って溜め込む性質を持っています。

そのため塗装が剥がれてしまうと、そこから錆や腐食、水の侵入が進んでフレームに強度的な問題が生じ、自転車そのものの寿命を縮める可能性が高いのです。自転車の塗装剥がれは、自転車の見た目を損なうだけでなく、安全性や機能の低下をも招くものと理解しておきましょう。

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自転車の塗装が剥がれる主な原因4つ

自転車の塗装が剥がれる主な原因4つ

自転車のデザイン性と機能性の両面に対し悪影響を及ぼす塗装剥がれですが、具体的には、どのような時に発生するのでしょうか。そこで以下からは、自転車の塗装が剥がれてしまう原因について、代表的なものを4つ紹介していきます。

走行中の事故や転倒による外傷

まず挙げられるのが、走行中の道路や物、人への衝突事故や転倒による損傷から自転車の塗装が剥がれてしまうケースです。また走行中以外にも、停めていた自転車が倒れたことによってフレームに大きな傷ができ、そこから塗装が剥がれてしまうこともあるでしょう。

走行中に飛んできた飛び石等による傷

また自転車やバイク、車での走行中に発生する飛び石も、塗装が剥がれる代表的な原因の一つです。衝突や転倒をした覚えがなく、小さな傷が多数見られる場合は、飛び石や走行中に舞い上がった物がフレームに当たって、塗装が剥がれたと考えられます。

身体やワイヤー類等が当たることによる摩耗

自転車の塗装は、ここまでに見てきた事故、転倒、飛び石といった明らかな衝突以外に、摩擦によって剥がれることもあります。例えば、チェーンやブレーキワイヤー等の他の部品や、乗用者の足が当たりやすい箇所の塗装は、摩擦によって剥がれやすいと言えるでしょう。

ハンドルやサドル、チェーン付近といった特定のエリアに、飛び石よりも大きな塗装剥がれが見られる場合は、長期間の摩擦によってフレームの塗料が剥げてしまったのかもしれません。

購入から現在までの使用、経年による劣化

シティサイクル等の一般的な車種か、ロードバイク等のスポーツタイプ自転車かに関わらず、自転車は使用と経年により確実に劣化していきます。例えば、保管・使用中に付着した水分が原因でフレーム内部で錆が発生し、劣化が進み、塗装が剥がれるということも考えられます。

製造・購入から時間が経過していたり、適切な頻度でのメンテナンスや点検を行っていない自転車の場合は、直接的な原因がなくても塗装が剥がれる場合があると覚えておきましょう。

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自転車に塗装剥がれが起きた時の対処・補修の方法は?

自転車に塗装剥がれが起きた時の対処・補修の方法は?

自転車の塗装剥がれはフレームの強度・寿命を低下させる一因となるため、発見次第、何らかの補修対応をするのが望ましいとされます。そこで以下からは、自転車の塗装が剥がれた際に使える4つの補修方法について、作業内容が簡単なものから順に見ていきましょう。

補修方法①マスキングテープやプロテクターを貼る

まず、最も簡単な方法として考えられるのが、塗装が剥げた部分にマスキングテープやフレームプロテクター等、防水・防汚効果のあるテープやシールを貼り付けて補修するやり方です。

この方法では、自転車のデザイン性を回復することはできませんが、水や汚れの付着、またこれによるフレームの強度低下や寿命の短縮を防ぐ効果は十分に期待できます。補修に当たって見た目は気にしないという方や、とにかく錆や腐食を防ぐための応急処置をしたいという方は、ひとまずテープやシールを貼って補修すると良いでしょう。

補修方法②コンパウンド剤等の補修材を使用する

次に紹介するのは、コンパウンド剤や傷の補修材を使って塗装の剥がれを修復する方法です。

具体的には、それぞれ以下のような方法と仕組みで傷を目立たなくして、塗装の剥がれた箇所を修復していきます。

  • コンパウンド剤を使った補修方法:傷周辺を研磨して凹凸をなくし、塗装が剥がれた所を目立たなくしていく
  • 傷の補修材を使った補修方法:傷周辺に馴染ませて周囲の塗料を薄く溶かし、塗装が剥がれた所を埋めていく

これらの方法であれば、自転車の安全性や機能面だけでなく、見た目もある程度修復することができるでしょう。飛び石等による小さい塗装の剥がれ、または表面のみの浅い傷を目立たないようにしたいという場合には、おすすめの方法です。

補修方法③車用のリタッチペン等で塗り直す

続いて紹介するのは、カーショップやホームセンター等で車用のリタッチペンやスプレーを購入し、塗装の剥げた部分だけを所有者自身が塗り直す方法です。

この方法であれば、所有する自転車に近い色を選んで塗装が剥げた箇所を塗ることができるため、完全ではないものの、見た目の回復に重きを置いた補修ができるでしょう。

ただし、たとえ狭い範囲であっても、塗り直しをするには傷周辺に塗布されているワックスや塗膜、付着した錆を落とし、養生する等の作業が必要になります。自転車のメンテナンスや、塗装に関する知識や技術、道具がまったくないという方には、実施が難しいかもしれません。

補修方法④プロの板金屋さん等に再塗装を依頼する

自転車の塗装が広範囲にわたって下地が見えるほど剥がれており、部分的な補修や塗り直しで修復できない場合は、塗装を剥がした上で全体的に再塗装・リペイントする必要があります。

なお塗料を除去するには、特殊な溶剤や剥離剤等を使用しなければならないため、再塗装は個人や自転車販売店ではなく、車等の塗装を請け負う板金屋さんに依頼するのが一般的です。

ちなみに、板金屋さん等の専門業者に自転車の再塗装を依頼する場合にかかる費用としては、10〜20万円が目安でしょう。またお店によっては、再塗装には対応しているものの、その前後の自転車の解体・組み立てには対応していないところもあるため、注意が必要です。

塗装剥がれが酷い時は買い替えがおすすめ!

先述したように、フレームの広範囲に渡って塗装の剥がれ・錆が進行している自転車の補修には、高額な費用が必要になります。

お客様から自転車の塗装剥がれについて相談があった場合は、その程度を確認させてもらい、補修に必要な作業内容・費用をご説明した上で、買い替えも含め検討してもらいましょう。

自転車の塗装が剥がれるのを防ぐためにできること

自転車の塗装が剥がれるのを防ぐためにできること

自転車の塗装が剥がれること、またこれによるフレームの安全性や機能、寿命、デザイン性の低下を防止するために使用者ができることとしては、以下が挙げられます。

  • 走行中、停車中ともに事故や段差、転倒による衝撃をできるだけ避ける
  • 可能であれば室内で保管し、雨の日や水辺での自転車の使用も避けるようにする
  • 使用の前後に乾いた布で水分や汚れを拭き取ったり、傷やホコリを防ぐために定期的にワックスをかける癖をつける

フレームの塗装剥がれは、早く気付いて対処するほど、少ない手間と費用で補修が可能です。

自転車を購入されるお客様には、車種に関わらず1か月に1回はフレームの塗装にヒビや割れがないかを確認し、何か異常があれば、すぐ来店していただけるようご案内しましょう。

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