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自転車開発コラム

自転車フレームの寿命の目安は?アルミ等の素材による違いや寿命の延ばし方を解説

自転車フレームの寿命の目安は?アルミ等の素材ごとの違いや寿命の延ばし方を解説

自転車のフレームは、乗る人の安全や自転車そのものの寿命に大きく関わる骨格部分です。

そこで今回は自転車の設計・製造・販売を行うサカイサイクルが、自転車フレームの寿命の目安について解説。寿命を左右する要素や車種・素材による違い、そして寿命を延ばすためにできる対策等も踏まえながら、紹介していきます。

自転車フレームの寿命を左右する2つの要素

自転車フレームの寿命を左右する2つの要素

自転車フレームの寿命は、「フレームそのものが持つ強度や性能」の他、乗る際の「使用条件や保管方法」によって大きく変わってきます。

まず「フレームそのものが持つ強度や性能」とは、素材となる金属等が持つ強度や剛性、重量をはじめ、形状や製造方法によって付与された特性のことです。例えば形状と強度を基準に考えた場合、シティサイクルに使われることの多いスタッカードフレームよりも、スポーツタイプに使われるひし形フレームの方が構造体として強いため、寿命も長くなると考えられます。

対して「使用条件や保管方法」とは、自転車に乗る人の体重や普段の取り扱い、乗車の頻度、走行距離等の条件や保管時の環境・方法のことです。

例えば、先述したひし形フレームは構造体としては強いですが、スポーツタイプの自転車はシティサイクルよりも過酷な環境で走ることが少なくありません。そのため、同じ素材から作られた自転車フレームであれば、実際にはシティサイクルのフレームの方がスポーツタイプのフレームより長持ちするということも起こり得るのです。

関連記事:「自転車フレームにはどのような種類がある?素材・形状・構造による特徴や乗り心地の違いを紹介」

自転車フレームの寿命を断言するのは難しい

ここまでに見てきたように、自転車フレームの寿命は素材や製法、形状等だけでなく、使用方法や保管時の環境によっても変わります。そのため、ひとくくりに寿命を断言するのは非常に困難だと言えるでしょう。

そこで以下からは、素材が持つ特性を基準に自転車フレームの寿命目安を解説していきます。アルミ、カーボン、クロモリ、ハイテンション鋼の4つの素材別に、車種による違いも踏まえながら紹介するので、お客様に買い替えのタイミングをアドバイスする際の参考に、ぜひご確認ください。

自転車フレームの寿命目安:アルミの場合

まず、代表的な材料の一つであるアルミを使った自転車フレームの特性や寿命の目安について見ていきましょう。

アルミは、他の金属に比べて軽く、強度・耐食性ともに高い素材です。非常に頑丈で衝撃吸収性に優れた自転車フレームとなるため、一般的なシティサイクルからマウンテンバイク、ロードバイク等のスポーツタイプに至るまで、幅広い種類の自転車フレームに採用されています。

しかし一方で、アルミ製の自転車フレームには「剛性が低く、金属疲労やダメージを蓄積しやすい」という特性もあります。そのため、長い間大きな歪みや劣化が見られなかったにも関わらず、溶接した接合部の塗装に浮きやヒビが現れ、そこから破断してフレームが壊れ、寿命を迎えるケースが多いようです。

アルミ製の自転車フレームの寿命目安は3~15年

基本的には頑丈であるものの、劣化の判断が難しいアルミ製自転車フレームの寿命の目安は、おおむね以下の通りです。

  • シティサイクルの場合:5~15年
  • スポーツサイクルの場合:3~10年

ただし、アルミ製の自転車フレームが新品同様の性能を保てる期間は、車種に関わらず3〜5年ほどでしょう。使用年数が5年を超え、フレームの「へたり」による乗り心地の変化や走行中の異音を感じたら、寿命が近いと考えた方が良いかもしれません。

また塗装表面に白色や黒色の斑点、以前には見られなかった気泡のようなものが現れた場合は、錆や塗装剥離が進行している恐れがあります。そうなると、蓄積された金属疲労により、接合部から突然折れる可能性もあるため、安全のために買い替えを検討すべきでしょう。

自転車フレームの寿命目安:カーボンの場合

続いて、主にスポーツタイプの自転車のフレーム材料として使われるカーボンの特性と寿命について見ていきましょう。

自転車フレームに使われるカーボンとは、炭素製の布を何枚も重ねて固めた素材のことです。

カーボン製フレームは、金属製の自転車フレームに劣らない強度を持っている上、素材の密度が鉄やアルミよりも低いため、軽いのが特徴です。また繊維を重ねる方向を変えれば、ねじれへの剛性やひずみの制御もしやすいため、ロードバイク等の軽量化やこれによる走行性能の向上を狙いたい場合に、積極的に採用されます。

そんなカーボン製自転車フレームの弱点は、衝撃と紫外線に弱いこと。近年では技術の進歩により、衝撃や紫外線への耐性は高くなってきていますが、段差や障害物に当たった衝撃で割れたり、劣化したりするリスクは、金属製のフレームより高いと理解しておくべきでしょう。

また、他のフレーム素材に比べてコストが高いため、高価になりやすいところもカーボンフレームのデメリットだと言えます。

カーボン製の自転車フレームの寿命目安は5~10年

他素材に比べて高価なカーボンは、通常、シティサイクル等の一般的な自転車には使用しませんが、スポーツサイクルのフレームとして使用した場合の寿命は5〜10年ほどが目安でしょう。

なおカーボン製の自転車フレームには、使用方法や保管環境により寿命に差が出やすい特徴があります。普段の乗り方や保管場所によっては、上記の目安より短くなることもあるため、注意が必要です。

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自転車フレームの寿命目安:クロモリの場合

クロモリとは「クロームモリブデン鋼」の略で、鉄にクロムや銅、モリブデン等を添加して作る合金のことです。伸縮性と強度、剛性、耐衝撃性に優れた金属であることから、クロスバイク等のスポーツタイプを中心に、長い間自転車フレームに使われてきた歴史があります。

クロモリ製自転車フレームの特徴は、バネ感のあるしなやかな乗り心地であること、そして、鉄を主成分としているからこその重量感が挙げられます。また、他の素材を使ったフレームに比べて寿命が長いことでも知られていますが、鉄を多く含むゆえに錆びやすく、きちんと保管やメンテナンスをしないと寿命が短くなるという弱点も併せ持っています。

クロモリ製の自転車フレームの寿命目安は数十年

クロモリは、カーボンと同じく比較的高価なフレーム素材です。そのため、シティサイクル等の量産型自転車にはほとんど使用されず、乗り心地や素材にこだわる方向けのスポーツバイクやハンドメイドモデルのフレームとして使用されるケースが多いようです。

そんなクロモリフレームの寿命の目安は、数十年以上だと言われています。雨の日や水辺、海辺での使用・保管を避けるとともに、他のパーツを適切に交換・修理していくことができれば、半世紀近く乗り続けることも可能でしょう。

自転車フレームの寿命目安:ハイテンション鋼の場合 

「ハイテンスチール」「ハイテン」「高張力鋼」と呼ばれることもあるハイテンション鋼は、クロモリとは異なる比率でクロムやモリブデン等を配合した合金です。車や潜水艦、橋梁等、高い強度が要求されるシーンに使われる金属であり、自転車フレームとしてもスポーツバイクはもちろん、一般的なシティサイクルまで、幅広い車種に採用されています。

強度・耐久性ともに高く、細身のフレームでもしっかりとした強度を得られること、そして地面の感触を感じられるような乗り心地がハイテンション鋼フレームの魅力です。またクロモリに次いで寿命が長い上、クロモリより安価で購入できるところも、ハイテンション鋼から作られる自転車フレームの特徴と言えるでしょう。

ハイテンション鋼の自転車フレームの寿命目安は5~20年

ハイテンション鋼から作られる自転車フレームの寿命は、シティサイクルの場合も、クロスバイクやロードバイク等のスポーツタイプの場合も、5〜20年が目安だと言われています。

交通事故等による強い衝撃を受けたり、水や潮による錆が発生しない限りは、破断することなく長く使うことができるでしょう。

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自転車フレームの寿命を延ばすためにできることは?

自転車フレームの寿命を延ばすためにできることは?

最後に、自転車フレームの寿命を少しでも延ばすために、自転車を保管・使用する上で販売者や持ち主ができることを紹介していきます。取り扱う車種に関わらず、自転車をメンテナンスする上で知っておいて損はないポイントばかりですので、ぜひ参考にご覧ください。

できるだけ室内で自転車を保管する

先述した通り、自転車フレームの素材には紫外線や水、錆に弱いものが少なくありません。

常に紫外線や雨水にさらされる屋外で自転車を保管すると、一般的な目安よりもフレームの寿命が短くなる恐れがあります。自転車はできるだけ室内、または屋根のある自転車置き場やカバーをかけて保管するようにし、紫外線や錆によるダメージから守ってあげてください。

走行中の衝撃は可能な限り避ける

段差や転倒によって自転車に加わる衝撃は、フレームの寿命を縮める大きな原因となります。

これは、特に衝撃による破損が起こりやすいとされるカーボン製フレームはもちろん、金属疲労や衝撃によってゆがみや変形が起こる金属製のフレームにおいても、例外ではありません。

自転車の乗用中には、段差を乗り越える際には減速する等の安全運転を心がけて、できるだけフレームに衝撃が加わらないようにしましょう。

金属製フレームは雨の日、水辺での使用を避ける

自転車フレームのうち、特にアルミやクロモリ、ハイテンション鋼等の金属製のフレームは錆による腐食で強度が低下します。そのため雨の日や水辺、海辺での自転車の使用を避けるようにすれば、フレームの寿命を延ばすことができるでしょう。

定期的な乗車とメンテナンスで異常を見逃さない

自転車のフレームは、製造・販売から時間が経つだけで劣化が進んでいくものです。

寿命を適切に見極め、長く安全に乗り続けるためには、定期的な乗車とメンテナンスで異常を見逃さないことが重要になってきます。

具体的には、乗車時に乗り心地の変化や違和感、異音がないか毎回探るようにすると良いでしょう。また、乗車の前後に乾いた布でフレームをひと通り拭く癖をつけておくと、水や汚れから車体を守ると同時に、塗装の浮き・割れ・ヒビを早期発見するのに役立ちます。

自転車の開発・販売に関するご相談はサカイサイクルへ

私たちサカイサイクル株式会社は、その地域の人・事業者様に求められる自転車やサービスの提供を通して「活気あふれる街と人々の笑顔をつくること」を事業目的としています。

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