自転車フレームにはどのような種類がある?素材・形状・構造による特徴や乗り心地の違いを紹介
一見すると同じような形に見える自転車のフレームですが、実はさまざまな種類があります。
自転車は車種だけでなく、フレームの形状や素材、構造等によっても少しずつ性能や乗り心地が変化する乗り物なのです。
そこで今回は、自転車メーカーであり卸売り・小売りも行うサカイサイクルが、自転車フレームの構造や代表的な種類について、分類基準となる3つの要素とともに紹介していきます。
目次
自転車フレームの基本構造と各部の名称
具体的な種類を紹介する前に、まずは自転車フレームの基本的な構造と各部の名称について、簡単に確認していきましょう。
自転車のフレームは、2つのタイヤ・ホイールとハンドル、サドル、そしてチェーンとクランク等のパーツを繋ぐ管の集合体です。1台分の自転車フレームを作るのに必要な管・パーツの数は設計により変わってきますが、各部位の役割や大まかな位置、名称は以下一覧の通りです。
ヘッドチューブ | 主に自転車のハンドルを支えているパーツ。トップチューブやダウンチューブの他、前輪を支えるフォークやハンドルとフレームを繋ぐステムとも接続している。 |
トップチューブ | ハンドル下からサドル下を左右に繋ぐパーツ。ヘッドチューブと立管の他、フレームの形状によってはシートステーとも接続しており、走行中の振動を緩和・吸収してくれる。 |
ダウンチューブ | ハンドル下のヘッドチューブから、下部のクランク方面に向け延びている管。立管、クランク、チェーンステー等と接続している。乗り手が生み出すパワーを、推進力に変換する役割を担う。 |
立管(シートチューブ) | 横方向にハンドルとサドルを繋ぐトップチューブ、ハンドルとクランクが取り付けられるボトムブラケットシェルを繋ぐダウンチューブを、垂直方向に繋ぐパーツ。この立管の上部には、サドルが装着される。 |
シートステー | サドルの下、立管から後輪の中心に向かって延びている管のこと。後輪のタイヤ・ホイールやチェーンと接続している。サスペンション付きのものと、そうでない種類がある。 |
チェーンステー | ボトムブラケットシェルから、後輪の中心部に向けて延びている管。立管・シートステーと接続しているのが一般的。 |
自転車フレームの種類や性能等の特徴、乗り心地の違いは、これら必要パーツの材質や形状、取り付ける際の角度や結合方法等によって変わるものと理解しておきましょう。
自転車フレームの種類・特徴を決める3つの要素
先述した通り、自転車フレームの種類や性能の違い・特徴を決める要素は、大きく素材・形状・管の結合方法の3つです。
そこで以下からは、3つそれぞれの要素がどのようにフレームの性質に影響を及ぼしているのか、順に見ていきましょう。
自転車フレームの種類を決める要素①素材
自転車フレームには、どのような素材から作られるかにより性質や重量が大きく変わるという特徴があります。フレーム材料としてよく使われる素材や、各種のフレームが搭載されることの多い自転車の種類については、おおむね以下の通りです。
アルミ | 比較的安価で、軽量なところが魅力の素材。ただ素材自体の強度はあまり高くない上、振動吸収性も低いため、形状を工夫して性能や剛性を調整する必要がある。一般的な自転車からスポーツタイプのフレームまで、幅広く利用されている。 |
カーボン | 炭素からできた布を何枚も重ね、固めることで作られる素材。強度と振動吸収性のどちらも高く軽量だが、他の素材に比べると価格は高め。主にクロスバイク等のスポーツタイプの自転車フレームに使用する。 |
クロモリ | 正式名称はクロームモリブデン鋼と言い、鉄にクロムやモリブデン等を配合した合金。錆びにくい上、伸縮性に優れ剛性も高い素材で100年近く前から自転車フレームに使われてきた歴史を持つ。現在も一部のスポーツタイプ自転車のフレームに使われている。 |
ハイテンション鋼 | 別名「高張力鋼」とも呼ばれる強度が高く、軽い鋼材。シティサイクルをはじめ、比較的安価な一般自転車に使われることが多い。 |
ステンレス | 住宅の台所等にも使われるほど、錆びにくいことで知られる素材。一般的なシティサイクルからスポーツタイプのモデルまで、幅広い種類の自転車フレームの材料となっている。 |
チタン | 自転車フレームに使われることの多い他の金属に比べて錆びにくく、軽く、強いとされる合金。主にスポーツタイプの自転車フレーム材料として使われるが、溶接が難しいという特徴もあるため、比較的高価な素材。 |
マグネシウム | アルミよりも軽量で、カーボンと同等の強度を持つとされる素材。電動アシスト自転車のフレーム材料として使われることが多い。 |
自転車フレームの種類を決める要素②形状
一般的に、自転車のフレームは部材そのものを溶かして接着する他、ロウや接着剤を使って繋ぎ合わせて作ります。このようにして出来た管同士の接続部は、他の部位に比べるとどうしても強度が低くなるのですが、同時に自転車の走行中に最も強く力がかかる箇所にもなります。
接続部の強度を上げるには、管全体の肉厚(パイプの壁の厚さ)を厚くすれば良いのですが、そうすると今度は総重量が大きくなるため、走行性能を低下させる恐れが出てきます。そこで考え出されたのが、用途や想定される結合方法に合わせ、異なる形状・肉厚の管を使い分ける手法です。
具体的には、以下のように肉厚や形状の異なる各種のパイプを使い分けることで、自転車フレームの種類や特徴、性能の違いを生み出しています。
- プレーン管:パイプ内の肉厚が均一になっている管。最も一般的に使わる種類
- 片バテッド管:パイプの一端のみ肉厚を大きくし、あとはすべて均一になっている管
- 両バテッド管:両端の肉厚を大きくした管のこと。ダブルバテッド管とも呼ばれる
- 三段バテッド管:パイプの中間、両端がそれぞれ異なる肉厚になっている管
- 楕円管:断面が楕円形になるように作られた管。マウンテンバイク等に使用される
自転車フレームの種類を決める要素③管の結合方法
自転車フレームの管同士を結合させる方法には、大きくラグ式、溶接式、ラグ・溶接併用式、一体構造式の4種類があります。それぞれの概要や特徴は、以下の通りです。
- ラグ式:継手で管を結合する方式で、この方法を使ったものはラグフレームと呼ばれる
- 溶接式:熱で部材同士を接着させる手法。この方法で作ったものを溶接フレームと呼ぶ
- ラグ・溶接併用式:部位によって継手と溶接、両方の方式を使い分けて接合させる方法
- 一体構造式:モノコックと呼ばれる方式。金型を使いフレーム全体をまるごと成型する
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代表的な自転車フレームの形状・種類7選
ここからは、自転車フレームのうち代表的な7種類の概要について、その形状や構造、乗り心地等の違いも踏まえながら紹介していきます。
モノコックフレーム
モノコックフレームとは、先述の一体構造式で作られた自転車フレームのことです。複数のパーツを繋ぎ合わせるのではなく、一つの殻構造(かくこうぞう)パーツからできており、フレーム全体で自転車にかかる荷重を受け止めます。
コンパクトフレーム
主にロードバイク等、スポーツタイプの自転車に適用されるフレームの種類です。通常、地面に対して水平になるように取り付けられるトップチューブを、立管を短くすることで下方に傾斜させ、従来よりもコンパクトにしています。
なお、トップチューブが地面と平行になるよう取り付けられた従来型のフレームは「ホリゾンタルフレーム」、立管が短く全体をコンパクトにしたフレームは「スローピングフレーム」とも呼ばれます。
スタッカードフレーム
英語でジグザグ、食い違い等を意味する「スタガード」を由来とする自転車フレームです。
通常は立管上部で結合させることの多いトップチューブを、中間部より下の低い位置で結合させることで、スカートを履いた女性でも跨りやすいフレーム形状にしてあります。
剛性や強度の面では、パイプ同士がきれいな三角形やひし形を描くスポーツ自転車のフレームには劣りますが、幅広い人が利用するシティサイクルにおいては積極的に採用されています。
ミキストフレーム
ヘッドチューブから後輪のタイヤ・ホイール中心に向けて延びる2本の細いトップチューブが、第三のステーとして配置されている自転車フレームです。他の種類のフレームに比べると強度が増している他、トップチューブが低い位置にあることから、欧米では男女問わず使いやすいシティサイクル用のフレームとして親しまれています。
ダブルトップチューブフレーム
ダブルトップチューブフレームは、その名の通り、2本のトップチューブを備えた自転車フレームです。一般的なひし形のフレームの上に、もう一本トップチューブを通した作りになっているため、ヘッドチューブが他の種類のフレームよりも少し長めに作られています。
トリプルトライアングルフレーム
フレームの剛性、及び強度を高める目的で、左右のシートステーを立管をはさんでトップチューブ後部にまで到達させた種類です。一般的な自転車フレームが、2つの三角形を合わせたひし形のように見えるのに対して、立管・シートステー・トップチューブが3つ目の三角形を形成していることから、この名前で呼ばれています。
なお、他の種類のフレームよりシートステーが長い分、全体の質量はやや大きくなります。
分割フレーム
管の結合方法を工夫することで、簡単に分割・運搬・保管ができるようにした自転車フレームです。具体的には、BTCと呼ばれる特殊な継手をトップチューブとダウンチューブの結合に使用することで、分割を可能にした種類等が挙げられます。
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